辨 |
カモメヅル属 Vincetoxicum(白前 báiqián 屬)については、カモメヅル属を見よ。 |
訓 |
「和名ハ舟腹草ノ意ニシテ其果實殻片ノ形狀ニ基キテ名ケシナリ、畢竟ハ舟形ニ似タルヲ以テナリ、舟腹ハ舟ノ胴ヲ云フ」(『牧野日本植物図鑑』)。 |
深江輔仁『本草和名』(ca.918)に、白薇は「和名美奈之古久佐、一名久呂女久佐、一名阿末奈」、白前は「和名乃加々牟」と。
源順『倭名類聚抄』(ca.934)に、白薇は「和名美那之古久佐、一云久呂久佐、一云阿末奈」と。
小野蘭山『本草綱目啓蒙』9(1806)白薇に、「フナバラ ロクヱンサウ テツホウサウ オホフナバラ マルバノフナバラ カキシホ阿州」と。なお、コフナバラというものはスズサイコ。 |
漢名は、「薇(ビ,wēi)は細なり。其の根、細にして白し。『爾雅』を按ずるに、〈葞(ビ,mĭ)、春草なり〉と。薇と葞と、音 相い近し。則ち白薇、又た葞音の転なり」と(李時珍『本草綱目』)。 |
説 |
北海道・本州・四国・九州・朝鮮・中国東北・華北・陝西・江蘇・江西・福建・両湖・両広・西南に分布。
埼玉県では絶滅危惧ⅠA類(CR)。 |
誌 |
中国では、フナバラソウ 及びシロバナオオカモメズル C.versicolor(變色白前・蔓白薇)の根を、白薇(白馬尾)と呼び 薬用にする。なお、地方により、
ロクオンソウ(ヒゴビャクゼン) C. amplexicaule (合掌消)
エゾノクサタチバナ C. inamoenum (大羊角瓢・竹靈消)
スズサイコ C. paniculatum (徐長卿)
C. forrestii (群虎草)
などを 白薇の代用にする。『中薬志Ⅰ』pp.183-186 |
また、同属の植物のうち C. stauntonii (柳葉白前)及び C. glaucescens (白前・芫花葉白前)の根及び根茎を 白前(ハクゼン,báiqián,びゃくぜん)と呼び、またスズサイコ C. paniculatum (徐長卿)の根・全草を徐長卿(ジョチョウケイ,xúzhăngqīng)と呼び、それぞれ薬用にする。 |
『花壇地錦抄』(1695)巻四・五「草花 春之部」に、「弁慶草 中末。花、黒紫色、小りん。葉ハかんひのごとし。本草ニハふなわらと有」と。
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